上部消化管グループの部門紹介

上部消化管グループは主に胃と食道の病気を扱うグループです。

上部消化管グループの胃癌診療の特徴

  • 胃癌の中でも早期胃癌は増加傾向にあります。
    当センターでは患者様の身体への負担をできるだけ軽くするため、内科医師と連携を密にとり、内視鏡治療が可能な症例については内視鏡的粘膜切除術(EMR、ESD)を施行しています。また手術が必要な場合は、身体への負担を軽減することを目的として、早期胃癌に対しては腹腔鏡補助下手術を数多く行っております。
  • 「腹腔鏡手術」とは、腹腔鏡という直径約1cmの細長いカメラをお腹の中(腹腔)に入れ、そのカメラからの映像をモニターに映して、そのモニターを見ながら行う手術のことです。この「腹腔鏡手術」の利点として、(1)おなかの傷が小さいこと、(2)手術後の痛みが少ないこと、(3)お腹のなかの環境に与える影響が少ないために手術後の胃腸運動の回復が早く、術後早期から食事が摂取できること、(4)入院期間が短く、仕事や家庭への復帰が速やかなこと、(5)腹腔鏡の近接、拡大視効果により、より繊細な手術ができること、などが挙げられます。近年では多くの施設で、患者様にとって身体への影響が少ない「腹腔鏡手術」が選択されるようになってきています。
  • 進行胃癌に対しては、根治性を重視した手術を行い、全国有数の治療成績を常に維持しています。

胃癌の症状と診断

  • 胃癌の症状は、上腹部痛、食欲不振、悪心などの症状がみられますが、無症状のことも多く、健康診断などでたまたま胃癌が見つかる患者さんも多くいます。
  • 胃癌の診断には、上部消化管造影検査(バリウム検査)、上部消化管内視鏡検査、CT検査、腹部超音波検査などを行い、総合的に病気の進行度を評価します。 必要に応じて、PET検査、超音波内視鏡検査などを行い、病気の進行度を総合的に評価します。また、手術に際して問題がないかどうかの検査(心電図、採血、呼吸機能など)も同時に行います。

胃癌の治療方法

進行度、併存疾患、既往歴などから患者様ごとに最適な治療方針を決定しています。

内視鏡治療

組織型が分化型腺癌で、潰瘍がなく、病変の深さが粘膜 層までならば、原則的に胃癌の大きさには関係なく内視鏡治療の適応になります。また、潰瘍がある場合は30mmまでの大きさならば、内視鏡治療の適応になります。しかし、病変の深さが粘膜下層を越えている場合や、長径が31mm以上で潰瘍がある場合、または分化型腺癌以外の組織型の場合は、リンパ節転移の リスクがあることから手術の適応になります。

手術治療

早期胃癌の場合は、原則的には腹腔鏡補助下胃切除術を 行っています。進行癌の場合は通常の開腹手術で胃切除術を行っています。胃癌の部位や進行度によって、胃の切除部位や範囲、再建方法が異なります。術前に 診断した進行度、併存疾患、既往歴などから患者様ごとに最適な治療方針を決定しております。これは患者様ごとに異なりますので、手術に際しては、これらを 詳細にご説明し、治療に十分に納得をいただいた上で手術を行います。

化学療法

癌の患者様に対して抗癌剤を投与する治療法を化学療法と 呼びます。最近、胃癌の進行度でStageIIおよびIIIの患者様において、手術後にTS-1という抗癌剤の内服薬を1年間服用すると治療成績が向上することが証明されました。このエビデンスに基づいて、進行度が合致する患者様には1年間の服用を術後補助化学療法としてすすめています。また、胃癌が進行しすぎて切除ができなかった場合、手術をしても転移や腹膜播種等で癌を完全に取りきれなかった場合、手術後に再発した場合などにも化学療法を行います。
  ここ数年間で、胃癌に対する化学療法の治療成績は大幅に改善しました。これは、いくつかの新しい抗癌剤の使用と投与法の工夫によるものと考えられています。 また、臨床試験として進行癌に対して、術前化学療法を行っています。

上部消化管グループの腹腔鏡手術の特徴

通常の腹腔鏡手術

通常の腹腔鏡手術

トロッカー数を減らした腹腔鏡手術

上部消化管グループで行うトロッカー数を減らした腹腔鏡手術
上部消化管グループで行うトロッカー数を減らした腹腔鏡手術
 

横浜市立大学病院付属市民総合医療センターの胃切除クリニカル・パス

術後の回復を促進するようなプログラムとなっています。

上部消化管グループの胃切除クリニカル・パス
上部消化管グループの胃切除クリニカル・パス

上部消化管グループの食道癌診療の特徴

  • 手術では、術中・術後の身体への負担を軽減することを目的にして、胸腔鏡・腹腔鏡を用いた鏡視下手術を積極的に行っています。
  • 「食道癌の治療は病気の進行度によって異なります。進行度は「Stage」として表されます。Stageは0からIVbまで6段階あり、リンパ節転移の可能 性が極めて低いStage0では内視鏡的粘膜切除術を行っています。Stage1以上では鏡視下手術または放射線化学療法(放射線治療+抗癌剤治療)を行しています。
    それぞれの患者様の治療方針を決定するためには、まず、いくつかの検査を行って正確な診断を立てることが大切です。その上で、患者様の年齢、併存疾患等、様々な点を考慮して治療方針を決定しています。治療を進めるにあたっては、患者様とご家族の方に、「現在の病状とそれに対する治療の妥当性」について十分にご説明をさせて頂き、ご納得をいただいた上で、治療に臨んでいただくことを心がけています。

食道癌の症状と診断

食道癌の症状は、嚥下違和感、つかえ感、胸焼けなどの胸部(食道の周囲)を中心とした症状がみられますが、無症状のことも多く、健康診断などで見つかる患者様もいます。食道癌は他の癌と比較すると予後の悪い疾患です。しかし、早期発見により良好な治療成績が得られるようになってきています。
診断は、上部消化管造影(バリウム検査)、内視鏡検査、CT検査、PET検査などを行い、病変の大きさや深さ、リンパ節転移や他臓器への転移の有無などから総合的に病気の進行度「Stage」を評価します。

食道癌の治療方法

進行度、併存疾患、既往歴などから患者様ごとに最適な治療方針を決定しています。

内視鏡治療

リンパ節転移の可能性が低い、病変が粘膜層のしかも浅い部位に限局する癌に対して行います。

手術治療

早期癌から進行癌まで、癌の根治を目的に行います。食道 癌に対する手術の場合、患者様がうける手術の侵襲は小さくはありませんが、悪性の部分を可能な限り取り除くことができることが、手術の最大のメリットでもあります。患者様の負担を最小限にし、さらに胸腔内の深い部分のリンパ節を確実に取り除くことを目的に、当院では食道癌に対し鏡視下手術を積極的に施行し ています。

放射線化学療法

近年あらゆる進行度で手術療法に匹敵する治療成績が報告されており、食道癌に欠かせない治療法として確立しています。食道癌とリンパ節などの転移巣をターゲットとして、放射線治療と抗癌剤治療を同時におこない、およそ2ヶ月間の入院治療が必要となります。

放射線療法

食道癌は放射線に対して感受性が高く、前述の化学療法との組み合わせで、効果がより期待できます。しかし、年齢や併存疾患等で放射線化学療法を行えない患者様には放射線単独療法を行います。